ゲーム機やテレビにつなぐHDMIケーブルを探すと、「HDMI 2.1対応」という言葉をよく見かける。ところが、その表記だけでは、8Kが通るのか、4Kの何Hzまで通るのかが決まらない。
HDMIケーブルの区分は、バージョン番号ではなく公式のケーブル名で決まる。 名前ごとに帯域の上限が決まっていて、その名前はケーブルの外皮とパッケージに表示することが求められている。HDMI Licensing Administrator(HDMI LA)の説明を読みながら、どの文字列を見ればよいのかを整理する。
ケーブルに表示が求められているのは「名前」
HDMI LAは、すべてのHDMIケーブル製品について、公式のケーブル名をケーブルの外皮(ジャケット)に表示することを求めている。パッケージ側には、ケーブル名のロゴまたは対応する認証ラベルの表示が必要だとしている。HDMI Cable Overview
表示の単位が名前だという点が、ここでの出発点になる。番号ではなく名前が製品に印字され、名前ごとに通る映像が決まる、という組み立てだ。
もう一つ、同じ策定側が販売時の状況についても書いている。販売側が多様な宣伝用語を使い、公式のケーブル名を使わない場合があること、多くのサイトが紹介料に基づいてケーブルを推薦していること、偽造品が存在すること。「Shopping for the HDMI Cables Just Got Easier」
名前を決めた側が、その名前が使われない場合を前提にして確認手段を用意している。この書き方が目を引いた。だから読者の側でも、販売ページの言葉と、策定側が定めた名前を分けて読むことになる。
名前ごとに帯域の上限が決まっている
公式のケーブル名と、それぞれが対応する帯域を並べる。帯域は1秒あたりに送れるデータ量で、単位はGbps(ギガビット毎秒)だ。解像度とリフレッシュレート、そして色の情報量を掛け合わせた必要量が、この上限に収まるかどうかで通るかが決まる。
| ケーブル名 | 帯域の上限 | 公式説明にある対応形式 |
|---|---|---|
| Ultra96 HDMI Cable | 96Gbps | 8K@60/4:4:4、4K@240/4:4:4(10ビット・12ビットカラー)を含むHDMI 2.2のすべての機能 |
| Ultra High Speed HDMI Cable | 48Gbps | 8K@60、4K@120 |
| Premium High Speed HDMI Cable | 18Gbps | 4K60、HDR、BT.2020を含む拡張色空間 |
| High Speed HDMI Cable | 10.2Gbps | 1080pとそれ以上、4K@30Hz、3D、Deep Color |
| Standard HDMI Cable | 記載なし | 1080iまたは720p |
出典はHDMI Cable Overview。上の2つについてはUltra96 HDMI CableとUltra High Speed HDMI Cableの説明にも記載がある。
表から読み取れるのは、同じ「8K対応」でも中身が違うことだ。Ultra High Speedは8K@60まで、Ultra96は8K@60に加えて4:4:4という色を間引かない形式まで含む。自分なら、8Kという語より先に帯域の数字を見る。8Kと書いてあっても、色の情報量まで含めれば別の話になるからだ。
Ultra96は新しい名前で、HDMI 2.2仕様で導入された。Ultra High SpeedはHDMI 2.1仕様で導入され、2020年に市場へ出ている。名前が増えたのは仕様が更新されたためで、古い名前が無効になったわけではない。必要な帯域が48Gbpsに収まるなら、Ultra High Speedのままで足りる。
同じ名前を、3か所で確かめられる
Ultra96とUltra High Speedの2種類は、Ultra HDMI Cable Certification Programの対象になっている。HDMI LAはこれを必須の認証プログラムとし、すべてのモデルがHDMI Forum Authorized Testing Center(Forum ATC)での認証試験に合格する必要があるとしている。合格したケーブルは、販売単位ごとに認証ラベルを貼ることが求められる。Ultra96 HDMI CableとUltra High Speed HDMI Cableの説明
このラベルには公式のCable Name Logoが印刷され、名前はケーブルの外皮にも表示が必要とされる。さらにラベルは、一般的なQRコードアプリで読み取れる。
3か所で同じ名前を確認できる。図は認証と識別方法の説明の記述をもとにした説明用の図で、ラベルの実物の形を再現したものではない。
パッケージ写真しか見られない通販でも、ラベルの有無と名前は読み取れることが多い。逆に、名前も帯域も書かれていない商品説明は、この確認ができない。
商品ページでの表れ方と、確認する順番
公式の名前を使っている例を見ておく。サンワサプライのKM-HD20-U20は、製品名を「8K/4K対応・伝送帯域48Gbps・HDMI正規認証・ウルトラハイスピードHDMIケーブル(ブラック)2m」としている(2026年9月6日確認)。サンワサプライの製品ページ
この表記なら、名前(ウルトラハイスピードHDMIケーブル)と帯域(48Gbps)が両方読める。表と突き合わせれば、8K@60と4K@120までが対象だと分かる。
確認は次の順になる。
- つなぐ機器の仕様で、必要な解像度とリフレッシュレートを確認する。4K120で遊ぶのか、4K60で足りるのかを決める。
- 表で、その形式が収まるケーブル名を選ぶ。48Gbpsで足りるならUltra High Speed、HDMI 2.2の形式まで使うならUltra96になる。
- 商品ページで、公式のケーブル名と帯域の数値が書かれているかを見る。
- パッケージの認証ラベルと、ケーブル外皮の名前を確認する。ラベルのQRコードで認証状況を照合できる。
なお、ケーブルを替えても機器側の機能は増えない。この記事はケーブル側の表記だけを扱っていて、テレビやゲーム機がどの形式に対応しているかは範囲外になる。
確認できなかったことも書いておく。バージョン番号がケーブルの区分名として定義されているかどうかは、今回参照した範囲では確認できなかった。確認できたのは、表示が求められるのは公式のケーブル名だという記述までだ。個々の製品の認証状況もQRコードで照合していない。実測も行っておらず、実際に通る解像度は確認していない。Ultra96対応ケーブルの国内での販売状況も調べていない。
まとめ
- HDMIケーブルの区分は公式のケーブル名で決まり、ジャケットへの名前表示とパッケージへのロゴまたは認証ラベル表示が求められている。
- 名前ごとに帯域の上限が決まる。Ultra96が96Gbps、Ultra High Speedが48Gbps、Premium High Speedが18Gbps、High Speedが10.2Gbps。同じ8K対応でも、色の情報量まで含めると必要な帯域が変わる。
- Ultra96とUltra High Speedは必須の認証プログラムの対象で、パッケージの認証ラベル、外皮の印字、ラベルのQRコードで確認できる。
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