対戦ゲームのモード選択画面で、6v6と5v5が並んでいるのを見たことがある人は多いはずだ。6v6は1チーム6人、5v5は1チーム5人という意味で、素直に考えれば「6v6のほうが1人分、マッチが組まれるまで待つはず」となる。ところがOverwatch 2が2024年末に行った6v6の試験運用では、この予想が外れた。待ち時間を決めていたのは、役割ごとの人数をどこまで固定するかだった。
この記事は、対戦ゲームでプレイヤーが役割(タンク、サポートなど)を選んで参加する設計を持つ人向けに、なぜ役割の固定が待ち時間を左右するのかを、公開情報から整理する。
6v6は本当に1人分しか変わらなかったのか
Overwatch 2は2024年12月17日から、Season 14の期間限定モードとして6v6を試験導入した(GameRant)。まず投入されたのは、タンク2人・ダメージ2人・サポート2人を固定する「2-2-2」のRole Queueだった。Role Queueとは、マッチに参加する前に希望する役割を選び、その通りの人数構成でチームを組む方式を指す。
素朴に考えれば、5v5の1タンク編成から2タンク編成に増えるだけなので、待ち時間も少し伸びる程度で済みそうに思える。だが報道によれば、このテストではタンクの待ち時間がほぼ即マッチだった一方、ダメージとサポートの待ち時間は大幅に長くなり、問題として取り上げられるほどだったという(GameRant)。1人分の差にしては、開きが大きすぎる。
役割比率の固定という条件
Blizzardは同じSeason 14の中で、1月7日からもう一つの6v6テストを追加した。「Min1、Max3」と呼ばれる方式で、各チームは役割ごとに最低1人・最大3人までという範囲だけを守ればよく、2-2-2のような固定比率を求めない(GameRant)。これはOpen Queueに相当する。
この違いを整理すると、待ち時間が決まる仕組みが見えてくる。
- マッチを1つ組むには、役割ごとに決めた人数(椅子)を埋める必要がある
- 役割ごとの希望者数には偏りがあり、タンクを選ぶ人はダメージやサポートより少ない
- 比率を「2-2-2」と固定すると、希望者が少ないタンクの椅子2つが埋まるまで、他の椅子が埋まっていても試合を開始できない
- 比率をMin1〜Max3の範囲に緩めると、タンクが1人しか集まらない状況でも試合を開始でき、逆にタンク志望が多い時間帯には3人まで許容できる
必要な合計人数は6v6のままで変わっていない。変わったのは、役割ごとの人数をどこまで厳密に固定するかという点だ。Blizzardはこの緩めたOpen Queueを、Season 15以降もQuick PlayとCompetitiveの常設モードとして残したと報じられている(Esports.gg)。継続の理由として、5v5・6v6のどちらでも待ち時間が安定していたことを挙げたとされる。
報道を読み比べていて意外だったのは、人数を減らす方向(5v5化)ではなく、比率を緩める方向でも同じ問題が解けていたことだ。てっきり「6v6は原理的に5v5より待たされる」という単純な話だと思って読み始めたので、Open Queueが5v5と並ぶ待ち時間まで戻ったという結果は予想と違った。
なお、「6v6」という言葉だけでは2-2-2固定なのかOpen Queueなのかが区別できず、報道記事の中でもどちらのテストを指しているか読み違えそうになった。この記事では以後、固定比率を「Role Queue」、範囲指定を「Open Queue」と呼び分ける。
Leagueのオートフィルという解き方
役割の希望に偏りがある問題そのものは、Overwatch 2に限った話ではない。League of Legendsも5v5・5ロール(トップ、ジャングル、ミッド、ADC、サポート)を採用しており、ジャングルやサポートは希望者が少ない役割として知られている。
Leagueが選んだのは、Overwatch 2とは逆の緩め方だ。役割ごとの人数(各1人ずつ、合計5ロール)は固定したまま、プレイヤーと役割の結びつきのほうを緩めている。これが「オートフィル」で、希望した役割が埋まっている場合に、別の役割で試合に割り当てる仕組みだ。Riot Gamesは2018年3月の公式devブログで、オートフィルを完全に廃止すると全体の待ち時間が3〜4倍になると説明している(Riot Games)。
同じ、役割ごとに希望者が偏るという問題に対して、2作は緩める場所が違う。
| タイトル | 緩めた対象 | 具体的な仕組み | 出典 |
|---|---|---|---|
| Overwatch 2 | 役割ごとの人数比率 | 2-2-2固定をやめ、Min1〜Max3の範囲に | GameRant |
| League of Legends | プレイヤーと役割の結びつき | 希望と異なる役割へのオートフィル | Riot Games |
Overwatch 2は必ず希望の役割で遊べることを守りながら椅子の数を融通し、Leagueは役割の数と比率を守りながら人の割り当てを融通している。どちらも総人数は減らしていない。
自分がどちらを好むかと言われれば、カジュアルな遊び方が中心なら、選んだ役割を必ず遊べるOpen Queue的な緩め方を取りたい。ただしランクの真剣度が高いモードでは、比率まで緩めるとタンク3人のような極端な編成が組めてしまい、競技性が崩れる恐れがある。そちらを避けたいなら、Leagueのように役割の数を固定してオートフィルで吸収するほうが合っている。正解が一つあるというより、カジュアルさと競技バランスのどちらを優先するかで、緩める場所が変わるという話だと感じた。
なお、Riot Gamesは2025年12月公開の”Ranked 2026”devブログで、オートフィルされたプレイヤー同士を優先的に組ませる調整や、オートフィルされた試合で好成績を残した際の救済制度を発表しており、この設計は現在も調整され続けている(Riot Games)。
この説明が当てはまらないところ
- Overwatch 2の6v6テスト中の待ち時間の分数は、いずれも独立した複数の報道機関によるもので、Blizzard自身が公式に分単位の数値を発表した一次資料は確認できなかった
- 2026年9月時点で、Overwatch 2の6v6 Open Queueが現行シーズンでも提供され続けているかは確認できていない。参照した報道は2024年末から2025年春(Season 14〜16)時点のもの
- Leagueの”Ranked 2026”で発表された調整が、2026年9月時点でどこまで実装され稼働しているかも確認できていない
- 役割ごとの希望者数の実際の比率(何%がタンクを希望するかなど)は、両タイトルとも一次データが公開されておらず、ここでは「偏りがある」という前提までしか扱っていない
結論
6v6と5v5の待ち時間の差は、合計人数の1人分では説明できなかった。効いていたのは、希望者が少ない役割の人数をどこまで固定するかという設計だ。Overwatch 2は比率を緩め、Leagueは人の割り当てを緩めることで、同じ、役割の偏りが待ち時間を作るという問題を、それぞれ別の場所で解いている。対戦ゲームの待ち時間が気になったときは、まず対戦人数ではなく、公式のパッチノートやモード説明で役割ごとの人数条件がどう決められているかを確認するとよい。
マッチメイキングの設計をさらに掘り下げるなら、SBMMが勝率を5割へ均す仕組みも合わせて読むと、役割の固定とは別の角度から、公平さと待ち時間のトレードオフが見える。
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