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投了ボタンは平等じゃない。League・VALORANT・Dota 2・Overwatch 2の「試合の終え方」を比べる

大差がついた試合で投了ボタンに手を伸ばす。だが必要な賛成の割合はゲームで違い、Dota 2は大半のランクプレイヤーにその権利自体がない。4タイトルの公式資料を比較する。

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0対8まで離された試合。もう勝ち目はないと分かっていて、指は自然と「投了」ボタンへ伸びる。League of LegendsやVALORANTを普段プレイしている人なら、この場面に覚えがあるはずだ。だが同じ操作を別のゲームで探すと、ボタンの場所どころか、そもそも押せるかどうかからして違う。投了に必要な賛成の割合はゲームによって80%か100%かに割れ、Dota 2に至っては、多くのランクプレイヤーがその投票に参加する権利自体を持たない。

投了ボタンがあるゲームと、リーバー罰則で対応するゲーム

「投了」とは、試合の決着がついていない状態でチームの合意により早期に敗北を認め、試合を終える機能を指す。League of LegendsとVALORANTには、この投了をチーム内投票で成立させる仕組みがある。一方でOverwatch 2には、パッチノートにもBlizzard公式サポートにも投了に相当する機能への言及が見当たらない(Blizzard公式サポート)。

Overwatch 2が採っているのは、投了を用意する代わりに「離脱」に罰則を科す設計だ。公式サポートによれば、アンランクでは直近20試合中2〜3試合の離脱で2分間の入場制限がかかり、繰り返すと10分、2時間、48時間と延びていく。

競技プレイではさらに重い。「Match Complete」画面が出る前の離脱はすべて離脱扱いになる。経験値75%減、キュー参加までの待機時間延長、レート低下を経て、最終的にはそのシーズンの競技プレイ利用停止に至る(Blizzard公式サポート)。

チームで「もう終わりにしよう」と決める手段がない代わりに、1人で抜けることのコストを上げる。同じ「詰んだ試合」への答えでも、Overwatch 2はチームの合意ではなく個人の行動を制御する側に設計を寄せている。

League は8割、VALORANTはモードで8割と10割に分かれる

投了に投票制度があるLeagueとVALORANTでも、必要な賛成の割合は同じではない。

Leagueは2023年2月のPatch 13.3で「Surrender at 15」を導入した。Blind Pick・Normal Draftにおいて、5人中4人(または チームの70%以上)の賛成があれば15分から投了が成立するようになった。従来の「20分まで全会一致」という条件は撤廃されている(Riot Games公式パッチノートNME)。2か月後のPatch 13.7では、同じ条件がランクソロ/デュオとランクフレックスにも拡大されている(Riot Games公式パッチノート)。5人チームなら4人の賛成、割合にして8割で試合を終えられる。

VALORANTは2020年7月のPatch 1.03で、投了を呼びかけられるタイミングをラウンド8からラウンド5に早めた。ここで興味深いのは、モードによって必要な賛成が分かれている点だ。Unratedでは反対1票まで許容される、つまり5人中4人の賛成があれば成立する。ところがCompetitiveでは、この緩和は適用されず全員一致が必要になる(Riot Games公式パッチノート)。同じゲームの中でも、順位に関わるランク戦の方が「全員が納得しない限り終われない」という、より重い合意を求める設計になっている。

ここまでを並べると、必要な賛成の割合は「8割」と「10割(全会一致)」の2種類に分かれる。Leagueは常に8割、VALORANTはUnratedが8割・Competitiveが10割だ。

投了に賛成した割合 League of Legends VALORANT(通常) VALORANT(競技) Dota 2(5人限定) 0% 50% 100% 80% 100% 投票権はランク5人限定 ソロ/デュオ/トリオ不可

賛成80%で成立するLeague・VALORANT(通常)と、賛成100%の全会一致が要るVALORANT(競技)・Dota 2という2つのグループに分かれる。だが、同じ100%というグループの中でも、Dota 2の点にはもう一つ、割合とは別の条件が隠れている。

Dota 2の全会一致は「そもそも投票に参加できるか」から始まる

Dota 2は2022年7月6日、Valve公式のニュース投稿で投了機能を追加した。ルールは次の通りだ。試合開始から30分が経過したあと、オールチャットで”gg”と発言すると10秒のカウントダウンが始まり、誰も止めなければそのまま敗北扱いで試合が終わる。ただしチームの誰か1人でも”gg”以外の発言でこれを止めれば成立しない。プロの試合で使われているのと同じ演出だという(Valve公式)。

ここまではVALORANTのCompetitiveと同じ「全員一致」の設計に見える。だが決定的に違うのは、この投票を呼びかけられる資格だ。Dota 2の投了は、ランクマッチで、なおかつ5人全員が試合開始前から同じパーティを組んでキューに入った試合に限られる。アンランクの試合、あるいはソロ・デュオ・トリオなど5人未満の人数でキューに入った試合では、そもそも”gg”コールを呼びかける権利自体が発生しない。この制限は複数の独立した媒体がValve公式と同じ内容で報じている(ONE Esports)。

つまりDota 2の「全員一致」は、VALORANTのCompetitiveと同じ数字を要求している。だが、その数字を集める資格自体が一部のプレイヤーにしか与えられていない。ランクマッチを主に1人、または友人1〜2人で回しているプレイヤーは、試合がどれだけ一方的になっても、投了という選択肢そのものにたどり着けない。

自分は調べ始める前、投了の有無は「ある」か「ない」かの二択だと思っていた。Dota 2を調べる途中で、その前提が崩れた。「ある」に分類されるはずなのに、大半のランクプレイヤーには使う資格がないという第三の形が出てきたからだ。

投了の話を「必要な賛成の割合が何%か」という数字の比較だけで捉えると、この違いは見えてこない。League・VALORANTの投票は「その試合に入っている全員」に投票権があるのに対し、Dota 2は「キューに入った時点の編成」が投票権の有無を決めている。同じ「投了」という言葉を使っていても、権利が発生する条件が別の階層にある。

4タイトルの投了条件を並べる

ここまでの内容を、投了の有無・必要な合意・追加条件・導入時期の4項目で並べ直す。

タイトル投了の有無必要な合意追加の条件導入時期
League of Legendsあり(投票)5人中4人、または70%以上(実質8割)ランク・カジュアル共通。15分経過から呼びかけ可能2023年2月(Patch 13.3)、ランクへは同年4月(Patch 13.7)
VALORANT(Unrated)あり(投票)5人中4人(反対1票まで許容、実質8割)ラウンド5から呼びかけ可能2020年7月(Patch 1.03)
VALORANT(Competitive)あり(投票)5人全員(全会一致)ラウンド5から呼びかけ可能2020年7月(Patch 1.03)
Dota 2あり(投票、条件付き)5人全員(全会一致)ランクの5人パーティ限定。試合開始30分経過後2022年7月
Overwatch 2なし離脱そのものに段階的な入場制限・競技プレイの罰則で対応―(該当機能なし)

表にすると、「あり/なし」の二択では見えなかった段差がもう一つ増える。同じ「あり」でも、League・VALORANT(Unrated)はその試合の全員に投票権がある。VALORANT(Competitive)は全会一致という重い条件だが、これも全員に権利はある。Dota 2だけが「あり」でありながら、投票権を持てるかどうかが試合前の編成で決まる。

適用範囲

  • 本記事はいずれもPC版の情報にもとづく。VALORANTにはコンソール版があり、2024年6月に投了・リマインドメニューが操作不能バグのため一時的に無効化され、同年8月のPatch 9.02で復旧した実績があるが、これはコンソール版固有の一時的な障害でありPC版の投了ルールには影響していない
  • VALORANTの投了条件は、本記事で確認できたUnrated・Competitiveの2モードについてのもの。Swiftplayなど他モードの条件は確認できていない
  • Leagueには投了とは別に、早期の離脱者が出た試合を無効化する「Remake」という仕組みもあるが、必要な賛成人数は情報源によって記述が食い違い、Riot公式の一次テキストに到達できなかったため本記事では数字を示さない

確度

主張確度根拠
League「Surrender at 15」の条件(4/5または70%、15分から、ランクへ拡大)確認済み(公式パッチノート+独立報道一致)Riot Games公式パッチノート、NME、GameRiv
VALORANT「Early Surrender」の条件(ラウンド5から、Unrated反対1票許容、Competitive全会一致)確認済み(公式パッチノート+独立報道一致)Riot Games公式パッチノート、複数の攻略・報道サイト
Dota 2の投了条件(ランクの5人パーティ限定、30分経過後、全員一致の”gg”コール)確認済み(公式ニュース+独立報道5件一致)Valve公式ニュース、GosuGamers、ONE Esports、The Loadoutほか
Overwatch 2に投了機能が存在しないこと確認済み(公式資料に記載なし)Blizzard公式サポート、公式パッチノートのいずれにも言及なし。「存在しないと明言した公式声明」ではなく「見当たらない」という確認
Overwatch 2のリーバー罰則の詳細(段階的な入場制限、競技プレイでの罰則)確認済みBlizzard Entertainment公式サポート
Leagueの「Remake」の正確な賛成人数条件未確認情報源間で記述が食い違い、Riot公式の一次テキストに本セッションから到達できず

まとめ

投了に必要な賛成の割合は、Leagueが常に8割、VALORANTはUnratedが8割・Competitiveが10割で分かれる。Dota 2もCompetitive同様の全員一致だが、その投票を呼びかけられるのはランクの5人パーティに限られる。ソロ・デュオ・トリオでキューに入った大多数のランクプレイヤーには、最初から権利がない。

Overwatch 2にはそもそも投了という選択肢がなく、代わりに離脱そのものへ段階的な罰則を科す設計を採っている。「詰んだ試合をどう終えるか」への答えは、賛成の割合・投票の資格・投了の有無という3段階でゲームごとに分かれている。自分がよく遊ぶタイトルがどの段階にあるかを知っておくだけで、投了できない試合に苛立つ場面は減らせるはずだ。

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